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世界遺産の知床を深く知る。その見所と一度は訪れてほしい場所

世界遺産の知床を深く知る。その見所と一度は訪れてほしい場所

2021.09.18
投稿者:スタッフ

日本国内に世界 “自然遺産” がいくつあるかご存知でしょうか? 1993年に屋久島と白神山地、2005年に知床半島、2011年に小笠原諸島、2021年に奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島と、現在この5つ(5カ所)がUNESCOによって世界自然遺産として登録されています。他の場所と比べて知床がとりわけ異なるのが、その広さと範囲。

ここでは、広大な知床がなぜ世界自然遺産に登録されたのか、場所とアクセス、見どころまでを詳しく解説します。訪れる前に知床を深く知っておきましょう!

世界自然遺産とは

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海外の名所や日本の歴史的建造物なども指定されることの多い「世界遺産」。その名を聞けば、『知ってる!それって世界遺産でしょう?』となるはずです。しかしながら、世界遺産には「文化遺産」「自然遺産」「複合遺産」という3種類に分かれているんです。

その特質に応じて分類されており、世界自然遺産とは「自然美・自然現象」「地形・地質」「生態系」「生物多様性」などの基準を満たした自然を世界遺産が登録される仕組みです。観光の名所であることも多いですが、世界自然遺産は観光の発展を目的としたものではありません。本来の目的は、世界で守るべき自然を指定することで、その副産物として観光や地域おこしに用いられています。

知床が登録された3つの理由

上記では世界遺産の違いについて解説しましたが、では知床はなぜ登録されたのでしょう。世界遺産に指定された理由は、おもに3つあります。理由とともに、知床の特徴を見ていきましょう。

生態系

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知床では海に流れつく流氷を中心に、豊かな生態系が育まれています。流氷が運ぶ栄養分がプランクトンを育て、知床の海が豊かになり、アザラシや海鳥、オオワシなどの命がつながっているのです。

また、川を遡上するサケは、山で暮らす生き物のエサになるとともに、死んでしまってなお森を豊かにします。海と山で育まれる生態系が評価され、世界自然遺産に登録されるひとつの要因となりました。

生物の多様性

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知床には、さまざまな動植物が生息しています。山ではヒグマやエゾシカ、キタキツネ、海ではトドやアザラシ、オジロワシ、ケイマフリなどが暮らし、世界的にも希少な生物が多いのが特徴です。

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シマフクロウや、高山植物のシレトコスミレなどは絶滅危惧種でもあり、生物保全のために守らなければならないと考えられています。

種類豊富な動植物が暮らせているのは、知床にある生息環境や資源の影響が大きいです。多様な生態系を支えている場所であるのも、世界自然遺産に登録された理由と考えられています。

保護管理体制

豊かな生態系や生息環境、資源を守るためには、人による保護・管理も必要です。知床は、日本で初めて科学的調査に基づいた管理を行った場所で、保護管理体制が世界に評価され、世界遺産登録につながりました。

保護管理の一貫として、知床世界自然遺産地域科学委員会、知床国立公園利用適正化検討会議、知床エコツーリズム推進協議会などが設置され、自然科学や社会科学に基づいた管理計画を立案・実行しています。

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場所とアクセス

知床半島マップ
北海道の北東部に突き出した半島部分が、世界自然遺産の知床です。斜里町と羅臼町の2つがまたがったエリアを知床半島と呼び、沿岸の海とともにこの広域が世界自然遺産に登録されています。

知床へのアクセスは、空港または斜里駅から車やバスで行くのが基本です。空港を利用する場合は、女満別空港から車で約2時間15分、中標津空港から約2時間、釧路空港から約3時間30分の所要時間となります。

斜里駅まで電車で移動する場合は、ウトロまでの路線バスまたはレンタカーで1時間ほどです。

見どころ

日本の世界自然遺産の中でも最も広大な知床には、たくさんの見どころがあります。湖や山、滝など自然に恵まれたスポットが豊富です。旅行で訪れる際には、それぞれの魅力を参考に気になる場所をリストアップしてみてください。

知床五湖

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知床五湖は、知床の原生林に囲まれた5つの湖の総称です。ひとつ目の湖が見えるところまでは無料で行くことができ、整備された木道を歩きながら散策を楽しめます。

その他4つの湖は、ヒグマが出没することもあり、有料のガイドツアーに参加すると近くまで行くことが可能です。知床の自然はもちろん、知床連山やオホーツク海などの景色を見られます。

知床峠

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知床峠は、ウトロと羅臼をつなぐ峠で、標高738mの高さがあります。無料の駐車場が用意されていて、高い場所から見る知床の景色は圧巻です。

羅臼岳や国後島まで見ることができます。季節によって表情が異なり、初夏に残る残雪や秋の紅葉なども見どころです。

カムイワッカ湯の滝

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カムイワッカ湯の滝は、知床の硫黄山から湧き出る水が流れ落ちる滝で、知床八景のひとつに数えられています。いくつか滝があり、一つ目の滝の滝壺まで行くことが可能です。滝壺の水温は30度ほどになっており、真夏には泳ぎや入浴を楽しめます。

滝壺までの10分ほどの道のりは、カムイワッカ川の沢登りが必要です。緑に囲まれた川を登りながら、ちょっとワイルドなハイキングをできます。


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オシンコシンの滝

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オシンコシンの滝は、知床八景であるとともに、「日本の滝100選」にも数えられる滝です。約80mから水が流れ落ち、力強い流れとしぶきは迫力があります。

途中で流れが2つになることから、「双美の滝」という別名も。冬は水量が減りますが、滝が凍った貴重な姿を見られます。

オロンコ岩

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オロンコ岩は、ウトロ港にある巨岩です。約60mの高さがあり、かつて周辺に暮らしていた先住民族・オロッコ族にゆかりがあります。

岩には石段があり、展望台に登れるのが特徴です。見晴らしの良い場所からオホーツク海や知床連山など知床ならではの景色を一望できるため、知床八景にもなっています。

プユニ岬

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プユニ岬は、ウトロ道の駅から約5分のところにある岬です。知床八景に数えられ、絶景スポットとして有名で、ウトロの町並みや海岸線など、遠くまで息をのむ景色が広がります。

水平線に沈む夕日や着岸する流氷なども見られる場所です。また、プユニ岬の断崖からオホーツク海に流れるフレペの滝もあります。「乙女の涙」という別名があり、どこか儚さを感じさせる滝の姿が特徴です。

ウトロから知床自然センターの途中にあるので、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

ガイドと一緒に知床ハイキング

前述にもある通り、生態系を守るため知床は豊かな自然に溢れています。旅路ではヒグマやエゾシカが顔を出すことも少なくありません。この地を訪れる皆さんには、ルールを守って、安全に注意して周遊をお楽しみください。

また、斜里ウトロを訪れる場合は、私たちガイドと巡ることをおすすめしています。

知床アルパでは知床半島の眺望を楽しむコースをはじめ、知床五湖巡りや硫黄山登山など、夏と冬でそれぞれ異なるプランを多数ご用意しています。なかでも「半島眺望」は、ダイナミックな滝や半島を一望できる絶景ポイントにもご案内するので、大自然を感じられることでしょう。距離を保った場所から野生動物と遭遇できることも多く、知床らしさを存分に感じられるプランです。